医師数データの正しい読み方 — 人口当たりの医師数が多い町をどう読むか
公開日・本文更新日は編集の日付であり、統計の調査年・制度の適用日ではありません。
「医師が多い街」と聞いて思い浮かぶのは東京や大阪かもしれません。人口10万人当たりの医師数が多い自治体の一つが、岩手県矢巾町 — 人口約2.8万人の町で、その値は約2,010人。この記事では、この人口当たり指標を入り口に、医療データの読み方を説明します。
なぜ矢巾町の人口当たり医師数は多いのか
大学病院などの大きな医療機関がある自治体では、勤務する医師が集まり、人口当たりの値が大きくなることがあります。ただし、特定の施設が掲載値にどれだけ寄与したかは、その統計の対象・調査年・計上方法を原資料で確かめる必要があります。
人口当たり指標は分子と分母の両方に左右されます。医師数が多く、分母の人口が小さければ値は大きくなります。ただし、値が大きいことだけで元データが正しいとも誤りとも判断できません。医師数と人口の調査年・対象範囲の確認が先です。
医療は「市区町村の境界」で完結しない
もう一つ大事なのは、医療の生活圏は行政の境界と一致しないことです。矢巾町の病院は盛岡市民も使いますし、東京の都心3区(千代田・中央・港)の医療機関は周辺区の住民の受け皿でもあります。医療・福祉スコアが高く出たとしても、それは「その区に住まないと良い医療を受けられない」という意味ではありません。
実務的には、市区町村単体の数値よりも「通える範囲に何があるか」で考えるのが正確です。当サイトの市区町村ページの比較表は、同じ都道府県で人口規模が近い自治体を並べたもので、距離や通院圏を示すものではありません。実際に利用する医療機関の所在地・診療内容と、移動時間は別途確認してください。
それでも人口当たり指標を使う理由
実数は医師の総数、人口当たりの値は人口規模に対する比率を表し、別の見方です。仮の例として、人口66万人・医師1,000人の街と、人口3万人・医師500人の町では、後者の人口当たりの値が高くなります。しかし、診療科、診療時間、受診条件、移動時間や市外からの患者数が分からないため、後者の方が住民にとって受診しやすいとは判断できません。
つまり実数と人口当たりはセットで見るのが正解です。当サイトでは医師数などの主要指標に総量(実数)を併記し、ランキングページでは人口当たり順と総数順を切り替えられるようにしています。
チェックリスト
- 人口当たりの値が大きい場合は、医師の総数、人口、調査年、大学病院・基幹病院などの立地を確認する
- 市区町村単体でなく、近隣を含めた圏域で医療の厚みを見る
- 人口当たりと実数の両方を確認する
- 高齢の家族と住むなら、医師数だけでなく介護施設数や介護保険料もあわせて見る
街ファインダーで医療・福祉カテゴリの高い順に探すと、都道府県や人口規模を絞って候補を比較できます。医師数だけの順位ではないため、街のページで個別の指標も確認してください。