「全国スコア」の読み方 — 市区町村データを偏差値で見る入門
公開日・本文更新日は編集の日付であり、統計の調査年・制度の適用日ではありません。
当サイトでは、全国1,741市区町村の統計を「全国スコア」という共通のものさしで表示しています。これは統計学でいう偏差値を基に、平均50を基準に変換し、整数への丸めと1〜99の範囲への上限・下限処理を行った値です。この記事では、このスコアの仕組みと、数字を読み違えないための注意点を説明します。
なぜ生の数値ではなく偏差値なのか
市区町村の統計は、単位も桁もバラバラです。人口は「人」、家賃は「円」、犯罪は「件/千人」。たとえば「保育所が84か所/10万人」という数字を見ても、それが多いのか少ないのか、単体では判断できません。
偏差値に変換すると、どの指標も「全国の中でどの位置にいるか」という同じ意味を持つようになります。50は変換後の平均付近、60は平均より1標準偏差高く、40は1標準偏差低い水準の目安です(値が小さいほどよい指標は向きを反転)。分布の形・丸め・上限処理により、全国スコアだけから上位何%かを決めることはできません。単位の違う54の指標を並べて見比べられるのは、この変換のおかげです。
また、人口や地価のように一部の大都市だけ桁違いに大きい指標は、そのまま平均すると分布が歪みます。当サイトではこうした指標に対数変換を挟んでから偏差値化し、「桁の暴力」で他の指標がかすまないようにしています。詳しい算出方法はデータについてで公開しています。
小さな点差を、生活上の差や統計的な有意差と同一視しない
スコア52と50という点差だけでは、体感できる差があるか、統計的に有意な差かは判断できません。当サイトのスコアは信頼区間や有意差を示すものではなく、元データの調査年、対象範囲、丸めなどにも影響されます。小さな差だけで街を選ばず、実数値や生活条件をあわせて確認してください。
50を基準とする相対位置は、採用した指標の分布上の見方です。55や45などの数値を、暮らしの良し悪しや明確な優劣の境界として使わないでください。
複数のカテゴリを平均する際の注意点
当サイトのカタログには54指標・10カテゴリがあります。総合スコアはカテゴリをまとめた指標ですが、現在は集計の確認が必要な指標が含まれるため、総合スコア・順位と、安全・利便性・住まいカテゴリを集計方法を確認中として公開停止しています。停止対象を除いて総合スコアを再計算することもしていません。対象と対応方針はデータについてをご覧ください。
一般に、複数の分野の値を平均すると、分野ごとの違いが見えにくくなります。公開中のカテゴリや実数値を個別に確かめ、重視する生活条件に照らして比較してください。
小さな町村が上位に来る理由
ランキングを見ると、人口数千人の町村が意外な分野で全国上位に入っていることがあります。たとえば岩手県矢巾町の人口10万人当たりの医師数は約2,010人です。これは大学附属病院が立地する町の人口が小さいため、「人口当たり」の値が大きく出るからです。
人口当たり指標は公平な比較のために必要な加工ですが、分母(人口)が小さい自治体ほど値が振れやすいという性質を持ちます。上位の顔ぶれに小さな自治体が並んでいたら、「実数はどれくらいか」もあわせて確認するのがおすすめです。当サイトでは主要な件数指標に総量(実数)を併記しています。
スコアにできないこと
全国スコアは公的統計から機械的に算出した相対位置であり、街の魅力の絶対評価ではありません。物価の安さ、スーパーの充実、特定の駅への通勤時間といった生活実感に直結する情報は、当サイトの掲載データだけでは扱えません。データはあくまで候補を絞る道具として使い、最後は現地と一次情報での確認をおすすめします。